皆さんは移動する時に、足としてどのような手段を使いますか?
1番多いのはやはり車だと思います。積載力や雨の中でも移動可能なのは1番の強みですよね。その他は電車や自転車などもあるかもしれません。
僕はもちろん車も使用しますが、バイクでの移動を多く行っています。
以前記事にしたように釣りで使うこともありますし、日常の足としても大活躍です。
バイクの中でも今回は原付(原動機付自転車)のお話です。
さらに、その中でも原付二種というものをご存知でしょうか。
正式名称は「第二種原動機付自転車」といいます。
もちろん運転には免許がいりますが、そのハードルを上回るメリットに溢れています。
今回はその原付二種についてご紹介します。
目次
原付と原付二種の違いは?
排気量の違い
原付と原付二種の違い、皆さんはご存知でしょうか。
原付は50㏄以下のバイクのことを指します。
自動車の教習所で免許取得時に必ず運転するバイク、あれが原付です。
原付は上限排気量の49ccであることが多く、過半数がいわゆるスクーターです。
一部にはアメリカンタイプやレーサータイプなども存在しています。
一方原付二種は原付も含めて125㏄以下までのバイクに乗ることが可能です。
極論を言えば50㏄か51㏄かで法律上の取り扱いが大きく変わってきます。
運転免許証の違い
原付と原付二種を運転するには当然免許証が必要になってきます。
原付は多くの方が持っている普通自動車免許があれば、運転することが可能です。
免許上に表記はありませんが、付帯しているものなので大丈夫です。
一方原付二種は、というと小型自動二輪免許以上の免許が必要になってきます。
普通自動車免許では50㏄までの運転が可能、小型自動二輪免許では125㏄までのバイクが運転可能になります。
もちろん大型自動二輪免許を取得していればすべてのバイクに乗ることができます。
道路運送車両法、道路交通法上の違い
法律上のお話です。道路を走る上で必ず関わってくる法律が、道路交通法というものです。
制限速度や一方通行などを規定しているあれですね。
今回この記事を書くにあたり初めて知ったのですが、道路運送車両法というものもあるそうです。
わかりやすく言うと
道路運送車両法=陸上を走行する車両(自動車、原付、軽車両)について規定しているもの
例:車の車検や車の規格等
道路交通法=道路を走る際のルールを定めているもの
例:制限速度や2人乗りの可否等
この法律に則って話を進めると、道路運送車両法上では125㏄以下のバイクは原動機付自転車と定められているため扱いはどちらも「原付」となります。
原付、二種とわかれているのはこの法律上の区分を分けるためですね。
一方道路交通法上では50㏄以下のものを原付と定めています。そして51cc以上125cc以下のものは小型自動二輪車と定義が変わり、実際の道路での走行時に原付と大きな違いがみられます。これは後ほどメリットのところでお伝えしますね。
一般的には小型自動二輪車よりも原付二種の呼び名が浸透しているので、少しややこしいですね。
原付二種のメリットデメリット
先ほどは原付と原付二種の違いについてお伝えしましたが、その中から具体的に原付とどう違うのか、メリットデメリットをお伝えしていきます。
メリット
①車と同じ法定速度
実際に乗っている側として、1番のメリットはこの部分です。先ほどの法律上だと道路交通法に関わってくる部分ですね。
皆さんご存知だとは思いますが、原付の制限速度は30km/hです。実際に乗ってみるとわかりますが、30km/hってとてもゆっくりです。逆に危ないのでは、と思うレベルです。
ウサインボルトは40km/hで走るそうなので、それよりも遅い…それが現実です。
もちろん、法律上の話なのでサーキットなどで走ればある程度の速度はでます。
一方原付二種は道路運送車両法上原付ですが、道路交通法上は自動二輪車ですので法定速度が自動車と同じになります。
一般道60km/hになるので、車の流れに乗って走行することが可能です。しかし、自動車専用道路や高速自動車国道、高速道路は走行不可になっているので注意が必要です。
その他道路交通法上以下の点が原付と異なります。
・二段階右折の禁止(しなくてもいい、ではなくて禁止です)
・速度に応じた通行帯の利用(原付は第一通行帯)
・2人乗りができる
・最大積載量が60kg(原付は30kg)
②燃費がいい
車と比べてバイク全般で言われることは「燃費がいい」ということだと思います。
一時期のガソリン高騰よりは価格が落ち着いているものの、130円台/Lでも高いと感じるのは事実。通勤に車を使う人は死活問題です。原付二種はそういった悩みを解決できる救世主になるかもしれません。
車よりもバイクの方が燃費が良い理由は大きく3つです。
Ⅰ.エンジンの排気量が小さい
Ⅱ.車格が小さい(軽い)
Ⅲ.エンジン構造がシンプル
もちろん他にも要素はたくさんあると思いますが、この要素が大きいと考えています。
エンジンの排気量が小さい
排気量の大きさに関しては単純に排気量が大きければそれだけ使用するガソリンの量も比例して多くなります。エンジン内ではガソリンと空気を混ぜて爆発させることによって動力を生み出しているのですが、その面積(排気量)が大きくなればなるほどガソリンの量が必要になります。大きな動力と引き換えにたくさんのガソリンを使うわけです。
普通自動車として登録される最小が660cc以上なので、それと比較しても1/5の排気量です。
Ⅱ.車格が小さい(軽い)
これついても同様のことが言えます。先ほどの排気量の話では排気量=動力という形でお伝えをしました。動力が小さければ原付二種は走らないんじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、車と比べて圧倒的に軽いため小さな動力でもバイクを走らせることができます。車重が多ければそれを動かすための力を生むためにエンジン出力を上げないといけないため、結果燃費が落ちます。車重が軽いということは大きなメリットです。
ちなみに代表的な原付二種アドレスV125は107kg、コンパクトカーのパッソ(1000㏄)は910kgでした。
Ⅲ.エンジン構造がシンプル
エンジン構造については様々な形があるので、まずはそのご説明からしていきます。
エンジンの構造は今思いつくだけでも単気筒、2気筒、3気筒、4気筒、6気筒、8気筒などたくさんの種類があります。数字が増えていくのは単純にエンジン内でガソリンなどを爆発させる部屋の数が増えていくと考えてください。
この数が増えていくことによって生まれるのが動力の違いであったり、鼓動の違いであったり、燃費であったりと様々なエンジンの個性につながってきます。この数字を見て車両を選ぶ人がいるほど趣味の領域な部分もあります。
少し話がそれましたが、ここからは燃費に関わるお話です。エンジン内の部屋が増えれば増えるだけ当然ながらエンジンを構成するパーツが増えているため車重が増えていきます。つまりⅡでお伝えした車重による燃費の低下が起こります。
そしてパーツが増えることによって起こるリスクが高まるのがフリクションロスというエンジン内部での部品摩擦による動力の損失。現代の生産技術をもってしても、異なる部品同士が組み合わさって構成されている以上ごく僅かな摩擦が生じてしまい、うまく動力が生み出せないことにつながってしまいます。動力がうまく生み出せなければその分出力を上げる結果となり、それは結果的に燃費の低下へとつながります。(ごく僅かだとは思います)
つまりエンジン構成がシンプルであればあるほど、重量は軽くフリクションロスも起こりにくいということに理論上は着地します。
一般的な原付二種は1番シンプルなエンジン、単気筒を採用しているものがほとんどです。
小排気量でエンジン構造がシンプル、かつ車重の軽い原付二種。燃費は驚異の40km/Lを超えます。
③重量税が安い
車両を維持するにあたって必ずかかってくるのが重量税です。排気量によって5月にかかってくる税金ですね。車の場合排気量によって異なりますがかなりの出費ではないでしょうか。僕のアテンザは2500㏄クラスなので45000円です…。
そこでも家計の味方となってくれるのが原付二種です。
今までは51㏄以上125㏄以下のバイクと総称してきましたが、ここではその中でも2つに分かれます。先ほどの道路交通法上の違いはありません。
50㏄~90㏄(黄色ナンバー) 年間2000円
91㏄~125cc(ピンクナンバー)年間2400円
年間の違いは400円のみですが、車と比べると当然ながら差は歴然ですね。
車での通勤で月のガソリン代、維持費…など考えるとすぐに元がとれそうです。
なお、黄色、ピンクナンバーどちらも乗ったことはありますが体感的な違いはさほどありません。もちろんピンクの方が排気量が大きいため若干の差は出ますが実用に問題ないレベルです。
④保険料が安い
自動車に乗る以上ほぼ全ての人がかけている自動車保険。万が一の時に備えて入るのが普通、それはバイクでも一緒です。バイクは基本的に単体での保険加入となります。僕は1500㏄のバイクを所有していますが、年間保険料は20等級で3万円程とぼちぼちのお値段です。
と、ここまでは126㏄以上のバイクのお話。
原付二種は燃費がいい、重量税が安いと来ているところに加えてさらに嬉しいお話です。
原付二種は自動車の保険に追加できる「ファミリーバイク特約」というものを契約すれば保険料を割安に抑えることができます。
特約には「人身傷害型」と「自損傷害型」の2種類があり、内容と金額面が異なってきます。
人身傷害型 | 自損傷害型 | |
他人を死傷させた | 〇 | 〇 |
他人の物や車を壊した | 〇 | 〇 |
単独事故で自分がけがをした | 〇 | 〇 |
単独事故以外で自分がけがをした | × | 〇 |
自分のバイクが壊れた | × | × |
基本的に人身や物損面での違いはなく、自身がどういうシチュエーションでけがをしたかが契約によって補償される場合とされない場合があります。
僕は毎日乗るわけではなく、かつケガの時は医療保険でカバーすればよいと考えているので自損型を選択しました。毎日通勤で乗る、など用途のはっきりしている方は人身傷害型を選択してもよいかもしれません。
ちなみに金額は自損型で年間1万円くらい、人身型で2万5000円くらいだったと記憶しています。
ファミリーバイク特約を利用するにあたって他にもメリットがあります。
・原付を複数台所有していても全て補償の範囲内、年齢制限もなし。
・友達から借りた原付、代車も対象
・万が一事故を起こしても主契約の等級への影響はない
・別居の未婚の子(下宿中など)も補償範囲
家族なら誰でも乗れる状態の保険、すごくないですか?
⑤2人乗りができる
道路交通法のところでも少し触れましたが、こちらも利用する方にとっては大きなメリットです。原付は2人乗り禁止であることは皆さんご存知だと思いますが、極論1㏄違うだけの原付二種でも2人乗りが可能になります。
これは実体験ですが、混雑した場所に原付二種で出かけることは大きなストレスの軽減につながります。路肩走行は法令上違反ですし、嫌いなので行いませんが駐車スペースの確保や抜け道へ入るときの機動力など原付二種に勝るものはありません。
空き駐車場を探す時間、待つ時間、駐車場から出る時間が一気に短縮されてその分移動や現地での食べ歩きなどに充てることができます。
デメリット
①免許取得が必要
免許証のところでも触れたように、原付二種を運転するためには小型自動二輪免許以上の運転免許証の取得が必須になってきます。現在高齢の方は運転免許証と一緒に大型自動二輪免許が付帯してきた時代もあったので運転する場合に必要ありませんが、それ以外の方は新たに免許を取得する必要があります。
小型自動二輪免許取得方法には2つ方法があります。
Ⅰ.教習所に通う
自動車免許取得と同じで教習所に通って取得する方法です。総額7万円くらい。
AT限定なら最短2日、学科の受講と実技練習・試験があります。二輪の免許は路面実習がないため、校内テストに合格すれば免許書き換えの書類がもらえます。
Ⅱ.運転免許試験場で一発試験に臨む
二輪の一発試験は有名です。かつ試験官の目が超厳しいことでも有名。警察官ですもんね。
1回の受験料は書類代なども併せて7000円弱。9回で受かれば安上がり…でしょうか。
1日1回までしか受けられないので、自身のない人は無難に教習所に行った方が良い気もします。
②原付よりは値段が高い
原付と比べてメリットを推してきましたが、金額面では原付にはかないません。
アドレスV50は17万5千円、兄弟車のアドレス125は22万ほどと4万5千円の差。
個人的にはこの金額の差なら許容範囲かと思いますが、値段が上がるのは事実です。
(ちなみに絶版車のV125の場合は27万円でした)
③原付よりは車格が大きい
一般的に原付は小さいイメージを持つ方が多いかと思います。それは小さいエンジン、1人乗り前提の作り、コストダウンなど様々な要素の結果なのですが、原付二種は同じ原付と称される中でもどうしてもそれよりは大きくなってしまいます。
エンジンの大きさ、ガソリンタンクの大きさ、2人乗り用のスペース、荷重に耐えられる設計など考えられる点がすぐに上がってきます。
例に出しているアドレス125ですが、二種の中では限りなく原付に近いサイズ感と言われてはいますがそれでも並べると大きさは際立ちます。
車格が大きくなることで重量も増すため、走行速度や2人乗りなどのメリットよりも一層の小ささ、手軽さなどを求める方には原付二種はデメリットの方が強いかもしれません。
バイクで移動する時の注意点
これはバイク全般に言えることですが、こと原付や原付二種について言えることです。
バイクは自動車から見ると不安定かつ不確定な存在として認識されがちです。手軽さが手伝って急な車線変更や進路変更、路肩走行や、車線間の走行などをする人が多いからだと思います。
一定の距離を置いて走行する方、追い越し車線から抜いていく方とバイクとの距離の取り方は様々ですが中には今聞かない日はない、煽り運転をしてくるドライバーもいます。
法定速度で走っている上でそれをやられるとどうしようもないと思いますが、そういう場合は距離を取りましょう。コンビニに入る、路肩に止めてバイクを押して歩道を歩くなどこちらから関わりを断ちましょう。楽しいバイクライフがつまらないことで絶たれたら最悪です。
もちろん、バイク側が知らず知らずに行ってしまったことが原因で怒っているかもしれません。自分が運転する時は無茶をしないよう、心がけています。
おわりに
今回は原付、その中でも原付二種についてご紹介しました。乗るために免許取得など条件はあるものの、それを上回るメリットを感じていただけたのであれば嬉しいです。今から季節もよくなりバイクのシーズンです。バイクは季節を肌で感じることができる最高の乗り物ですので、経済的にかつ楽しくバイクライフを楽しみましょう。
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