長いこと釣りをしていると、思い出の魚はなんですか?という質問を受けたことがあると思う。
沢山の魚を釣っている人であれば、どれにしよう?となるのだろうが、僕の答えは一つ。
友達と10年振りのバス釣りで釣った、初めてのランカーバス。
志望校に落ちて2次募集で入った学校。
たまたま後ろの席の奴と仲良くなり、
たまたま釣りの話をしてテンションが上がり、
たまたま学校の近くに池があったから釣りに行った。
夕暮れ時、池につくと姿を見せたそいつにすぐ気が付いた。
池の淵をゆっくりと泳ぐバス。
釣ってみろと言わんばかりに、それはもうゆっくりと泳ぐ姿は目に焼き付いている。
童心にかえり、2人そろって無我夢中でルアーを投げまくるが反応はない。
しかし、バスは逃げずにゆっくりと泳ぎ続けている。
何十投もして、さすがに呆れたのかゆっくりと離れていく姿を必死で追った。
選んだルアーはスピナーベイト。
遠くに行ってしまったバス目掛けて思いっきり投げ、5mくらい向こうに着水した。
護岸沿いを根掛かりしないようにゆっくりとバスに向かって巻いていく。
そして、ルアーがバスを横切った瞬間、水の中がキラッと光った。
タックルもルアーも中学生当時のまま。
ラインはボロボロで、いつ切れてもおかしくない状態だが必死に巻いた。
やり取りに必死で全然覚えていないが、恐らく5分もせずに手元に寄せることができた。
慣れない手つきで、バス持ちをして友達と喜んだことは鮮明に覚えている。
二次募集での入学や釣りの話など、どれが欠けていても起こりえなかったこと。
色んな意味で奇跡的に釣れた1匹だと今でも思っている。
正直、この魚が釣れていなかったら今も釣りをしていなかったと思う。
それくらい釣りからは離れていたし、行く機会もなかった。
このバスのおかげで人生が変わったと言っても過言ではないくらい、影響を受けた1匹だった。
楽しい時間を共有する機会を作ってくれた、この思い出のバスには感謝している。
それ以降早起きをして友達とバス釣りに行きまくったが、あの1匹を超えるバスには出会っていない。
いつかこの思い出のバスを超えるような魚が釣れることを願って、今日も出かけていく。
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